せんねん灸セルフケアサポーター・日本不妊カウンセリング学会会員
東洋医学の「脾」の働き
東洋医学の「脾」の生理作用
東洋医学の「脾」は、西洋医学の「脾臓」とは対応していません。
もしも対応させるとしたならば、「すい臓」が「脾」と対応しているかもしれません。
その東洋医学の「脾」の働きは、
- 運化を主る
- 昇清を主る
- 統血を主る
- 気血津液生成の源
- 肌肉と四肢を主る
- 口に開竅する
- 脾の華は唇
- 脾の液は涎
- 脾の表裏は胃
となっています。
1.「運化」とは、消化・吸収・転輸のことで、運化を主るとは、食物の栄養物質と水液を消化・吸収をし、それらを全身に運ぶことをさします。
2.「昇清」の昇は、脾の気が上昇する性質を持つことを言い、清とは、消化・吸収された栄養物質のことをさします。
すなわち、内臓が下がることを防止していることと、吸収された栄養物質を心肺などへ昇らせ、栄養を全身に送ることをさします。
3.「統血」とは、血液の流れのことで、これをコントロールすることをさします。
4.「気血津液」とは、食物が消化されると生成する物質のことで、身体にはなくてはならい物質です。脾はこの生成に関わる臓器になります。
5.「肌肉」とは、筋肉とほぼ同じです。「四肢」とは、手足のことです。脾の消化吸収作用によって、身体をつくっています。
6.「口」7.「唇」8.「涎(よだれ)」は、脾と味覚の密接な関係を表しています。
9.「脾の表裏は胃」とは、脾の病が長引くと、胃に波及することを意味します。
東洋医学の「脾」の病理作用
1.「運化」が働かないと、食欲不振、食後の腹部膨満感、下痢や泥状便などの消化不良の症状や、身体に余分な水分が溜まるため、浮腫が生じたりします。
2.「昇清」が働かないと、内臓下垂(胃下垂、脱肛、子宮下垂など)を起こしやすくなります。また、栄養が行きわたらないため、疲れやすくなったり、めまいを起こすことがあります。
3.「統血」が働かないと、出血傾向(鼻血、血便、血尿、皮下出血、月経過多、不正性器出血など)がみられることがあります。
4.「気血津液」が生成されないと、疲れやすく無気力になったり(気の不足)、手足がしびれたり目のかすみ、月経不順が起こったり(血の不足)、肌が乾燥(津液の不足)したりします。
5.「肌肉と四肢」が弱ってくると、身体が痩せたり、手足に力が入らなくなります。
6.「口」7.「唇」8.「涎(よだれ)」が弱ってくると、味覚障害や食欲不振に陥ります。また、口のまわりにできものができたり、涎が出過ぎたりまたはでなかったりします。
9.「脾」と「胃」は、別々に捉えないで、一つの内臓と考えてもいいかもしれません。
「脾」に属するツボは21個
脾は、東洋医学の「陰」と「陽」に分けると、「陰」に属します。
さらに「陰」を分けると、「太陰」、「少陰」、「厥陰」の3つになります。
脾は、足の「太陰」に属していて、21個のツボを有します。
難しい話しになってしまいましたが、「脾」の性質を持ったツボが21個あり、そのツボもそれぞれ特性を持っています。
今回は、ツボの特性の前に、ツボの名前を列挙します。
- 隠白(いんぱく)
- 大都(だいと)
- 太白(たいはく)
- 公孫(こうそん)
- 商丘(しょうきゅう)
- 三陰交(さんいんこう)
- 漏谷(ろうこく)
- 地機(ちき)
- 陰陵泉(いんりょうせん)
- 血海(けっかい)
- 箕門(きもん)
- 衝門(しょうもん)
- 府舎(ふしゃ)
- 腹結(ふくけつ)
- 大横(だいおう)
- 腹哀(ふくあい)
- 食竇(しょくとく)
- 天渓(てんけい)
- 胸郷(きょうきょう)
- 周栄(しゅうえい)
- 大包(だいほう)
脾に属するツボはそれほど多くありませんが、色々なツボの特性があります。
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