せんねん灸セルフケアサポーター・日本不妊カウンセリング学会会員
双極性障害は、かつては躁うつ病と呼ばれていました。そのこともあって、うつ病の一種と誤解されがちですが、実は「躁うつ病」と「うつ病」は異なる病気で、治療法も異なります。
双極性障害では、テンションが高く活動的な“躁状態”と、憂うつで無気力な“うつ状態”を繰り返します。
ただ、気分の波は誰にもあります。
楽しいことがあった時にウキウキしたり、いやな時に落ち込んだりすることは、ごく当たり前のことで自然な反応です。
躁状態のときは、とても気分がよいため、本人は病気の自覚がありません。
うつ状態のときは、気分が落ち込んでいるため、本人はうつ病だと思い病院に行くことがあります。
気を付けていただきたいのは、うつ病の薬物治療だけでは双極性障害悪化させてしまうことがあります。双極性障害には抗うつ薬ではなく、気分安定薬と呼ばれる薬が有効です。
躁状態のサインとして
などがあげられます。
うつ状態のサインとして
などがあげられます
双極性障害は、躁状態の程度によって二つに分類されます。
家庭や仕事に重大な支障をきたし、人生に大きな傷跡を残してしまいかねないため、入院が必要になるほどの激しい状態を「躁状態」と呼びます。
症状として
・ほとんど眠ることなく動き回る
・家族や周囲の人に休む間もなくしゃべり続ける
・仕事や勉強にエネルギッシュに取り組むが、一つのことに集中できず、何一つ仕上げることができない
・高額な買い物をして、数十万~数千万の借金をつくることがある
・自分に特殊な才能があるといった誇大妄想を持つことがある
などがあります。
はたから見ても明らかに気分が高揚していて、眠らなくても平気で、元気に活動的で、本人も周囲もそれほど困らない程度の状態を「軽躁状態」と呼びます。
症状として
・短時間の睡眠でも平気になる
・いつもより人間関係に積極的になる
などがあります。
二つの躁状態に共通していることは、本人は自分の変化に自覚できず、大きなトラブルを起こしているにもかかわらず、ほとんど困っておらず、いつもより調子がいいと感じています。
また、躁状態の期間とうつ状態の期間を比較すると、うつ状態の期間の方が長いことが多く、躁状態のときは本人に自覚症状がないため、多くの人はうつ状態になったとき、うつ病だと思って病院に受診します。
前に書いたように、双極性障害とうつ病は異なる病気で、治療法も異なるため、治療がうまく進まないといったときは、双極性障害の可能性であることを考えてください。
薬物療法と心理療法(カウンセリング)が中心になります。
しかし、双極性障害は単なる「こころ」だけの悩みではないため、これらの療法だけで改善するわけではありません。患者さん本人がその病気について理解し、規則正しい生活をおくることも大切です。
癲狂(てんきょう)が近い言葉ですが、双極性障害というよりも統合失調症の方が近いかもしれません。
鍼灸をはじめとする東洋医学は、病名で施術するわけではないので、対処は可能です。
そのため、鍼灸は双極性障害に直接作用するわけではありません。
しかし、自律神経に働いたり、双極性障害に出やすい症状の緩和に作用します。
鍼灸院に通院するという行為も、生活習慣の乱れを改善したり、体力の回復にもつながることがあります。通院は一種のリハビリとなっています。
当院のおすすは、他の治療を行いながら、鍼灸による身体と心のメンテナンスを同時に行っていくことです。
11月のお灸教室は、いつもと違い第二日曜日の11月10日(日)に行います。完全予約制のため、11月5日(火)までにご予約ください。