せんねん灸セルフケアサポーター・日本不妊カウンセリング学会会員
長時間の仕事や運動を続けると、だれでも疲れが出てきます。
これ以外では、食生活の乱れや不規則な生活、運動不足が原因になっていることもあります。
疲労・倦怠感を回復させるためには、まずは身体を休め、栄養を摂ることが大切です。
それでも回復しないときは、ほかの病気が潜んでいる場合があるかもしれません。軽視は禁物です。
以前、厚生労働省が調査した文献によると、およそ60%の人が疲労感を感じていることがわかりました。そのうちの約4割は、6か月以上も疲労を感じている「慢性疲労」の方たちでした。
現在、疲労・倦怠感のメカニズムについてはよくわかっていませんが、働きすぎると脳が自らSOS信号を発信して、眠気やだるさ、集中力の低下、頭痛や肩こりなどといった症状を演出し、活動水準を下げて、休息を督促し、身体を守っているのではないかと言われています。
そのため、西洋医学では基本的に薬などによる治療は行っていません。
ただし、これらの症状に隠れている病気もありますので、必要に応じて検査を受けることが必要になってきます。
疲労とは、疲れることであり、倦怠の「倦」にも疲労の意味があります。「怠」は怠惰を意味します。すなわち、疲れて動きたくなくなる自覚症状のことをさします。
また、現代の中医学では「虚労」という病症の中で論じられています。
虚労は主に、五臓六腑(肝臓、心臓、脾臓、肺臓、腎臓の五臓と、胆、小腸、胃、大腸、膀胱、三焦の六腑)が弱っている状態と、「気」「血」「水」が不足している状態、および「精」が不足している状態をいいます。
*精は、先天の精と後天の精に分けられます。
先天の精は、両親よりもらったエネルギー物質で、生後は腎(臓)に蔵されます。
後天の精は、生後、飲食物から得たエネルギー物質で、腎(臓)に蔵されます。
働きは、
1.発育・生殖活動を活発にする
2.気・血・水を産生する
3.髄(骨髄、脳髄)・骨を生じる
この精は、年齢とともに減っていきます。減っていくと、白髪になったり、腰が曲がったりしていきます。
想像してみてください。腰の曲がったおじいさんが、頑張って畑仕事をしています。あなたはどんな声をかけますか?
私は、「おじいさ~ん、精がでますねー」と声をかけるでしょう。
そうです、精がでるから(使っているから)腰が曲がったり白髪になったりしてるのです。それだけ重要な物質と考えられています。
その精を減らさないようにする考えが「養生」になります。
先に書いたように、疲れやすいといった自覚症状を訴える患者は多いのですが、現代医学ではこうした状態の方々は、治療対象対象にはなりません。
しかし東洋医学では、このような疲労・倦怠感は、「気」「血」「水」「精」の不足により起こるため、万病のもとと考えられています。
よって、多くの疾病の予防のため、疲労回復を目的としたはりやお灸の施術や、漢方薬などが用いられます。
血流を改善させ、全身の組織に栄養を行きわたらせます。
そのためには消化機能を高め、飲食物から“後天の精”を補充し、「気」「血」「水」を生成を促します。
また、ストレスがあると、「気」や「血」は停滞するので、ストレスの緩和もはかります。
食事をきちんととる、適度な運動をする、十分な睡眠を取るなど、日々の生活を見直すことで、ストレスも緩和したり、疲労や倦怠感が改善したりしますので、これらも実践してみてください。
11月のお灸教室は、いつもと違い第二日曜日の11月10日(日)に行います。完全予約制のため、11月5日(火)までにご予約ください。